• 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第69話】BYスタッフE

    さて、今日は日本帰国に向けて空港に向かう日だ。朝起きて、ホテル1Fにある可愛らしいカフェで朝食を食べることにした。ビュッフェ形式になっていて、シリアルやフルーツ、ドライフルーツにパン、パンケーキなど、どれも美味しそうだ。ウェイトレスさんが暖かいコーヒーをポットに入れて持ってきてくれた。ゆっくりと朝食をしてから荷物を取りに部屋へ戻ろうとした時のことだった。エレベーターの方でガヤガヤと滞在客数名が何か言っている。中国語らしかったので何を言っているのかはわからなかったが、どうやら荷物を入れたエレベーターのドアが開かなくなってしまったようだ。小さなホテルなので、エレベーターは小さいのが1つしかない。スーツケースだけ乗せて、自分は階段で降りてきたのだろう。ところがエレベーターが故障したらしいのだ。ホテルの人が慌てて管理会社に電話をかけていた。もし僕たちがあと5分早く朝食を済ませて部屋から荷物を持ってエレベーターを利用していたら、、と考えるとぞっとした。フランスのホテルは古い建物が多いので、エレベーターが急に動かなくなることが多々あるらしい。相方も、昔間借りをさせてもらっていたお宅が築年数が古く、エレベーターがよく動かなくなったらしい。フランスのエレベーターは大抵の場合、2重扉になっている。鉄のような扉があって、それを自分で開けて、さらにエレベーターの扉を手で奥に押して入る(大抵のマンションのエレベーターは1人くらいしか入るスペースがない。そしてそれは何故かマンションの平米数に関係ない。)そして、鉄の扉をしっかり閉めてから内側の扉を閉める。そして行きたい回数のボタンを押す、という段階がある。その2重扉のどちらか片方でも閉まり方が曖昧なら、エレベーターは動かなかったりするらしい。全く最後まで油断ができない、、。僕達は階段でスーツケースを下ろしチェックアウトした。その頃エレベーターはまだ復旧していなかった、、。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第66話】BYスタッフE

    パリ滞在の最終日の17時頃、僕たちはパリ11区「La Tonquinois à Paris」のアトリエ兼ブティックにいた。小柄で優しい雰囲気のシャンタルさんが作るアクセサリーを、相方の店で取り扱いたいと希望していたのだ。取り扱いの条件などを確認し、無事商品を取り扱えることになった。パリ滞在最終日の夕方に、アポなしでよく商談成立できたものだと、相方の押しの強さか引きの強さか、どちらにせよ良かった、、と心底思った。相方が商品を選ばせてもらっている間、僕は店内を観察した。店のそこらじゅうに製作途中の材料が置いてあった。ものを創る作業というのは、きっと片付いた状態では不可能なのだと改めて気付く。相方も、製作し始めたらものの15分ほどで作業机は資材の山になる。その山の中から素材を選び出し、デザインを形にしていく、、ダイヤモンドを掘り当てるのと同じくらい大変な作業ではないか、、。相方は、新しいデザインを生み出すときが一番楽しくもあり苦しいのだと言う。シャンタルさんの場合は、材質上その全てが一点ものだ。その労力たるや、、。

    シャンタルさんのお店を後にしたのは6時を過ぎていた。僕は、仕事帰りの人達で大混雑するであろう地下鉄にはできるだけ乗りたくなかったので11区のシャンタルさんのお店から、バスチーユ駅まで歩くことを提案した。相方は嫌そうだったが、、歩いた。40分くらい歩いただろうか、バスチーユの駅に着いた。ここからは比較的綺麗な(一番好きな)1番線で滞在先の最寄り駅まで1本だ。お腹も減っていたが、一先ずホテルに戻ることにした。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第65話】BYスタッフE

    僕たちはゆっくりと次の目的地に向かって歩き出した。途中、相方が立ち寄りたかった「Jacques Genin」と言うチョコレート屋さんに立ち寄った。僕にはそこがどこなのか全く分からなかったが、どうやらマレ地区らしい。昔(と言ってもそんな遠い昔ではないが)相方が、この界隈の素材屋さんのオーナーに、このチョコレート屋さんがオープンした頃に連れて行ってもらった事があり、それ以来パリに行くたびに日本へのお土産に買いに来るそうだ。日本では買う事が出来ないらしく、とても個性があって美味しいチョコレート屋さんらしい。お土産用に小さい箱にチョコレートを詰めてもらった。次の立ち寄り店は「Merci」と言うセレクトショップだった。ここもチョコレート屋さんから徒歩で行ける距離にあった。大きな建物内には、洋服のコーナー、雑貨や家具、カフェまであって、一日過ごせそうだ。中には日本のメーカーのものもあった。相方とゆっくりと店内を見て回った。そしてそろそろ時間も午後3時を回った。次の目的地に向かう為、店を出た。次の目的地というのは、11区にあるアクセサリーショップだった。相方が以前からお店でアクセサリーの取り扱いを希望していたお店だ。日本にいるときに事前にメールでアポイントの予約連絡をしていたが、返信がなかった為に訪問するのを躊躇していたが、相方は諦めきれず、突貫で訪問する事にした。僕は、事前のメールに返事がないのに訪問するのは良くないと、何度も引き止めたが、一客としてお店に買い物に行くだけなら、、と、通常営業の時間をねらって行ったのだ。そのお店までは、徒歩で向かった。Merciから北上し、レピュブリック広場を横切りさらに東北方向へと歩いていく。20分くらい歩いただろうか、この界隈に日本人の姿は見られなくなった。この道であっているのか不安になり始めた頃お店に辿り着いた。時間はまだアポイント制のお客様向けの時間帯だったので、店の外で待っていた。するとオーナーらしき女性が出てきて相方に話しかけた。相方は、アポイントのメールを送ったが返信がなかったので普通に買い物をしに来た経緯を説明した。僕は内心大丈夫かとドキドキしていたが、オーナーは快く受け入れたくれた。と言うのも、僕なら間違い無く今回のような場合訪問していなかった(ビジネスマンなら取引依頼のメールを送って返信がなかったらお伺いする事は絶対にしないから)が、今回の相方の場合は諦めない事が吉だった。どうやらメールの不具合で相方の送ったメールを確認できていなかったそうだ。やれやれ、僕たちは、前のお客様の邪魔にならない様にお店の中で待たせてもらった。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第64話】BYスタッフE

    この日はメトロ1番線に乗って最初に下車したのはパリ1区に位置するパレロワイヤルと言う駅だった。相方が大好きな”Tsé&Tsé Associées”と言うアーティストのお店があるということで、是非とも立ち寄りたかったらしい。今回のフランスが初めての僕は、初日から相方の仕入れや友人宅に伺ったりして、ある意味観光地でない場所ばかりを訪れていた。一番最終日にザ観光地に来たらしい。通りには、エッフェル塔の置物やキーホルダーなど、お土産物屋さんが立ち並ぶ。相方が行きたかったお店は、大通りを少し入ったところにあった。相方に続いて中に入ると、「こんにちは!」と、日本人の店員さんが出迎えてくれた。なるほど、日本人のファンが多いのかな、、と思い、作品を一通り眺めた。相方は一つ一つ丁寧に眺めて、店員さんにお話を伺っていた。相方は一通り作品を見終わって、お目当の花瓶を購入し満足したようだった。お店を出ようとすると、店員さんにスリに気をつけてください、と言われた。最近この界隈ではスリが多発しているというのだ。観光客の多い場所はやはりスリも多いらしい。肝に銘じよう。

    もう一度地下鉄に戻り、1番線で次の目的地であるサンポール駅に向かう。ここは、相方のビジネスパートナーが以前にお店を出していた場所にも近く、ランチをしてこの界隈を散策することにした。パリ3−4区に位置するサンポール駅界隈は、さっきのパレロワイヤル界隈に比べると観光客よりも近隣住民の方が多い印象だ。そしてオシャレな個人店やカフェが立ち並ぶ。そして相方がヴォージュ広場まで案内してくれた。公園の周りに回廊があって、ギャラリーやカフェが立ち並ぶ、とても綺麗な場所だ。この角に位置するカフェレストランに入った。ウェイターが忙しそうに動いていた。相方が外の席が良いわといい、回廊に設置された席に座った。その日の日替わりランチメニューが美味しそうだったのでそれを頼んだ。僕はすっかり(赤)ワイン好きになったので赤ワインを、相方はロゼを頼んだ。しばらく待つと、なんとも美味しそうな食事が運ばれてきた。今日の日替わりランチのメインは鳥肉のカレークリーム煮、サフランライス付きだった。僕は無類の白米好きだが、この料理にはパサっとしたお米がバッチリ合っていて美味しかった。結構ボリュームがあったので満足して、食後のコーヒーを頂いて終了かと思いきや、コーヒーと共に、3種類のケーキ類が一つのプレートに盛られてきた。そう言えば、メニューに、ランチにはCafé gourmand(カフェ・グルマン)付きと書いてあったことを思い出した。これは、コーヒー(エスプレッソのような小さいザイズの濃いコーヒー)に小さいデザートが何品か付いて出てくるものを言うらしい。僕は、この時のデザートのケーキの美味しさにビックリした。正直、普段ケーキをあまり食べないが、この時のケーキはどれも美味しかった。しっかり甘いのに、後に残る嫌な甘さではなく、日本ではなかなか味わえない味だった。このランチメニューは一人辺り15ユーロほどだった(ワインは別計算で)。とても満足できた。さて、お腹も膨れ、お酒も入ってゆっくりしたいところだが、もう一つ大事な用事が残っていた。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第63話】BYスタッフE

    1日滞在日数を延長した僕たちは、翌朝滞在先を移動しなければならなかった。今まで滞在していたアパルトマンは、既に僕たちが予約していた最終日の翌日には新しい滞在者が来るとのことだったので、こちらは延長出来なかったのだ。相方が事前に、ネットで近辺のホテルを探し予約をした。僕たちが滞在していたエリアは空港までのバス乗り場が近く、翌日の移動を考えると、このエリアから離れたくなかったのだ。とはいえ、凱旋門付近は高級ホテルが多い。一泊の宿泊代もとても高価だ。日中はほとんど外出し、ホテルで過ごさない僕たちは、大通りから細い路地に入ったこじんまりとしたホテル(Hôtel du Bois)を見つけた。こじんまりしたと言っても、やはりパリ8区に位置する3つ星ホテルだ。品があって、内装もセンスが良かった。部屋はそんなに広くはなかったが、大きなふわふわのベッドに、大きなバスルーム(今までのアパルトマンはバスルームが小さく不便だった)が付いていた。パリの地形は不思議だが、いつどこで坂になっていたのだろうか、、どうしてここに階段が?と思う様な事がある。このホテルも、凱旋門から放射線状に伸びているロリンストン通りを入ったところに位置していたが、ホテルの前を通過してヴィクトルユゴー大通りに出ようとすると、ホテルの前の階段を下る地形になっていた。そんな裏路地が素敵だと相方は言う。パリに一週間以上滞在するなら自分たちで調理ができるキッチン付きのアパルトマンを借りるのはとても便利で良いが、ホテルに数泊するのも良いものだと思った。

    僕たちはチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いて即座に出発した。いつものように凱旋門の横を通り、地下鉄の入り口へ向かった。改札口を飛び越える無賃乗車の若者を見てももう僕は驚かなかった。今日はまず1番線に乗る。今まで乗車したメトロの線の中で一番綺麗だった。スリが多いから注意したほうが良いと相方に言われたが、明らかに今まで乗車した線のほうが薄暗く、スリにあってもおかしくなさそうだった、、。が、気を抜かずにあと1日過ごそうと思った。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第62話】BYスタッフE

    昨夜は友人との楽しいアエリティフの後に、友人が駐車禁止の切符を切られるというハプニングに見舞われた。気を抜かず、今日1日を乗り切らなければ、、。フランスに来てからというもの、この数日は手に入れた資材を日本に送る為、買い付けた資材の梱包→郵便局→資材の梱包を繰り返していた。いよいよ滞在日数が今日を入れてあと2日になった(出国日は朝から空港に移動なので正確にはあと1日)。相方は、今回のフランス滞在で是非とも訪問したい場所がまだ2箇所あった。しかし資材の出荷作業がまだ終わっていない、、。今回は諦めたほうがよさそうだな、、と思っていた矢先、相方が、急遽滞在日数を延長すると言いだした。幸い、航空券をフレックス(延長料金を払えば、帰りの搭乗日を変更できる航空券)を買っていた。早速相方がエールフランスに電話をし、幸い帰りの便にまだ空きがあった為、1日延長できた。そして1泊分の滞在先の確保も直ぐに手配した。僕は、相方の「これがしたい!」「こうしたい!」というときのパワーにいつも驚かされる。あっという間に滞在日数の延長の手配が済んだ。

    ということで、フランスに滞在できる時間を1日分確保した僕たちは、また手際よく荷物を郵便局に運んでいった。そして遂に最後の荷物を運び終えた。合計14箱のコリッシモを運び終えた時、なんとも言えない達成感だった。郵便局員の方にはすっかり顔を覚えられ、名残惜しい気持ちさえした。明日は滞在先からホテルへ移動、相方の用事2件、、最終日まで気が抜けない。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第61話】BYスタッフE

    今日も一日中滞在先と郵便局を往復したので、ヘトヘトだった。今日は相方の長年来の友人のパートナーの男性と夕方に会う予定が入っていた。この方は、この旅で相方の知人宅にお招き頂いた際に出会った方だった。日本に帰国する前にもう1度会おうと約束していたのだった。

    夕方になり滞在先の近くまで来てくれた。滞在先の近くのカフェは夜になるとバーの様な仕様になる。3人ともビールから始まり、その後はワインを生ハムのプレートやスナックをつまみに呑んだ。滞在先の近くに立地するカフェだったので安心してお酒を楽しんだ。話は弾み(会話は全て相方が訳してくれた)、色んなことを話した。フランス人は話すことが好きだ。しかしフランスに来て、夕食に招かれたりして感じたことは、フランスの方は見識が広いということだ。国内外の情勢や文化にまで会話が及ぶ。

    夜9時前になり、彼は時計を見ながらこの後会社の上司に食事に招待されているからそろそろ行かなきゃ、、と言った。え、今から??そうだ、フランス人の夕食は遅いんだった、、。しかも彼は車で来ていた、、。以前にも書いたが、フランスでは少量のアルコールならば飲酒運転にはならないらしい、、。別れを惜しみつつ、彼が車を止めているところまで3人で歩いていく、、と、路駐かい!!そして車のフロントガラスのワイパーに【駐車違反の紙】が!!!

    飲酒には寛容だが、路駐には厳しい、、。まだまだ帰国するまで気は抜けないぞと、一気に酔いが覚めたのだった、、。次回に続く、、。

    ※このブログの内容は、2019年9月末〜10月上旬のフランス買い付け記録です。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第59話】BYスタッフE

    購入した材料を日本に送るべく、僕たちは昨日から郵便局を何往復もしている。材料のビーズの仕分けに必要なジップ付きのビニール袋が大量に必要になる事を予想して、僕たちは休息日と決めた数日前の日曜日に【MONOPRIX】というスーパーに行っていた。今日はその時の事を書こうと思う。滞在先から徒歩で20〜30分くらいの、シャンゼリゼ通りにあるMONOPRIXは日曜日でも空いているのでとても便利だ。結果から言うと、ジップ付きのビニール袋は日本で大量に買って持参してくる方が良い。こういう類の、日本なら100均や文具店で直ぐに手に入る様な物が、フランスではなかなか見つけにくいのだ。MONOPRIXでも、探すのにとても苦労した。店員さんに聞いてようやく衛生用品や台所周りの商品売り場にある事がわかった。これはいわゆる食品を保存するジップ付きのビニール袋だったが、大きさがいろいろあったので、これで良しとすることにした。日本の100均や文具店で売っている様なジップ付きのビニール袋は、相方曰く【BHV】(ベー・アッシュ・ベー)の様なクラフト用品や日曜大工、インテリア雑貨等を扱う、日本で言うロフトや東急ハンズの様な大型店に行かないと売っていないかもしれないとの事だった。無事に食品保存用のジップ付きビニール袋を大量に購入し、滞在先に戻りながらシャンゼリゼ通りを散歩した。ふと目をやると、前方にフランスの警察官の姿が。しかも大人数で。相方曰く、以前より見回りの警官が増えたということだ。そのいでたちは、アメリカ映画に出てくるSWATのような格好で、実際に見ると迫力があった。そして彼らが持っている銃はランボーが持っていそうな【サブマシンガン】だ!日本では考えられない。しかも、銃をもっているその指はトリガーにかかっている。え?それって少し指に力を入れれば玉が発射される常態じゃないの!?安全装置は解除されてないでしょうね!?間違って打っちゃったじゃすまへんで!!等々が頭の中をよぎり、それを相方に必死で伝えながら警察官の側を通過する。怖さのあまり挙動不審で、もし警官に声をかけられたらどうしよう、、カバンの中には大量のジップ付きビニール袋が入っている。何の為にこんなに必要なんだと問われたら、、等考えながら必死で平静を装った。ああ、ここはやはり日本ではない、フランスなんだと再認識しつつ、そんな僕を気にせずにツカツカと早足歩きで歩いていく相方を小走りで追いかけた。次回に続く、、。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第58話】BYスタッフE

    郵便局を3往復した日の夜、僕たちは、パリに住む相方の友人に会う約束をしていた。その友人の住むお宅に伺うことになっていたのだが、僕も相方も、一日中重たい荷物を郵便局に運んでヘトヘトだった。まだ明日も同じ様な作業が待っていることを考え、僕たちが滞在している小さなアパルトマンに来てもらうことにした。フランスに来てからというもの、毎晩何かしらのワインを飲むようになった。というのも、スーパーで売られている手軽な値段のワインがとても美味しいのだ。しかし今日は相方の友人に来てもらうのだからと少し張り込んで赤ワインとつまみを買った。

    その友人と相方とは大学時代からの仲で、大学時代は二人とも英語を専攻していたそうだ。それぞれに学年も違ったが、他学科の授業を受けられるプログラムがあり、たまたま同じフランス語のクラスを受講したのがきっかけで友達になったそうだ。その後、フランスに語学留学をしに行った相方と、スイスへホテリエ(ホテルで働くための知識や実践を学ぶ)の学校に留学をしに行った友人、それぞれ進路は違えど、僕からしてみれば二人の趣味や嗜好は似ていると思った。その後、友人はフランス人の男性と知り合い、ご結婚されてフランスに住んでいる。相方にしてみれば彼女がパリに住んでいることで、毎回のフランス買い付け旅行も有意義になったに違いない。事前にこんな情報を聞いていたので、実際に彼女に会うのが楽しみだった。

    前にも話したが、フランス人はアペリティフ(食前酒)の時間を楽しむ。ご友人もご家族がいらっしゃるので、アペリティフだけお邪魔するわね!との事だった。しばし今日一日の疲れを忘れて、僕もご相伴にあずかろう。次回に続く、、。

  • 神戸北野【神戸異人館通り】から素材を求めてフランスへ【第57話】BYスタッフE

    親切なアンティーク雑貨店のムッシューのおかげで大雨を凌ぐことができ、郵便局に向かって再出発した。郵便局までの残りの距離としては後10分程だが、予想していた以上に荷物が重たい重たい。僕はおよそ7キロ×2箱の14キロを持っていたのだが、筋トレのように重たいウェイトを短時間で上げ下げする時のようなバーンアウト感ではなく、ジワジワ締め付けてくるような痛みだ。なんとか郵便局に到着した時、ホームグランドの様な安堵感がした。というのも今日だけでこの郵便局に3回来ている。郵便局員さん達ともすっかり顔なじみになってしまった。雨で型崩れがした箱に、ガムテープをぐるぐる巻きに補強してくれた。そして、重量の測定もファクチュールもいつも「Parfait!(完璧)」だ。しかし、この郵便局の方達は本当に親切で助かった。僕は、少しでも何か出来ないかと思い、相方が出荷の手続きをしている間、床に落ちているゴミを全て拾ってゴミ箱に入れた。すると、周りにいたフランス人がびっくりした様な顔で僕を見ていた。たったそれだけのことだが、僕はお世話になったこの郵便局の方々に何かお返しがしたかった。そして「明日もまた来ます!」と言って郵便局を後にした。

    雨が上がった後の10月初旬のパリは、夕方5時を回ってもまだ明るく、さっきの雨が嘘のような晴れ間が広がった。次回に続く、、。